ケータイ料金30年の歴史:結局、高くなったの?安くなったの?

携帯電話の通信料は高くなっているのか、安くなっているのか?
フィーチャーフォンからスマートフォンへの乗り換えによって、高額化が進んでいると思われがちだが、もっと長いスパンで見るとちょっと違う。今回は約30年のスパンで携帯電話の料金を振り返りたい。

あなたのスマホは月いくら?

8,268円。

これは僕の先月の携帯電話の料金の額だ。もう少しで1万円に届く。この金額が浮けば、もっと映画を見に行ったり、本を買ったりできるのになぁ、と思わないでもない。実感としては、高い。携帯電話の料金って、もうちょっと安くなかった?

あなたの場合はどうだろうか。携帯電話の料金、高いですか、安いですか?

30年前、携帯電話は車に乗っていた

携帯電話は高くなっているのか、安くなっているのか。これからその30年の旅に出たいと思う。そう、30年。携帯電話が誕生してから、実はそれだけの時間が経っている。

1979年12月、日本電信電話が首都圏を中心に、自動車電話サービスを開始した。これが携帯電話の始まりだ。

この自動車電話の改良が進んでいき、車外でも利用できる肩がけタイプの「ショルダーホン」、さらに小型化したハンディタイプの携帯電話が開発された。

今ではポケットに収まるサイズの携帯電話が普及してしまっているので、自動車電話というのは見かけなくなってしまった。だが、当時は少なくないユーザーがおり、1993年の時点で自動車電話を搭載した車が33万台も走っていたという。

携帯電話機が買えなかった時代

実はこの頃の携帯電話は個人で所有ができなかった。すべて電話会社からのレンタルだ。その理由は当時の携帯電話が高額だったため、個人所有をメインにするとユーザーの初期投資への負担が大きくなり、普及の妨げになると考えられたからだ。

では、レンタル代が安かったかというと、そうではない。まず、契約時の保証金に10万円。その他の初期費用にも約10万円かかり、合計20万円近くの金額が必要だった。毎月の基本使用料は1万9,000円だ。

10万 + 10万 + 1万9,000 = 21万9,000円

ここに通信費も加わってくる。この値段では「手が出しやすい」とは言えない(ちなみに最新のiPhoneの端末代金は5~7万である)。

1994年、個人で携帯電話が持てるようになった

1994年、買い切り制が導入された。これにより、携帯電話が個人で所有できるようになった。

デジタルホングループ(現・ソフトバンク)や、ツーカーグループが参入し、価格競争が起きて利用料は徐々に下がっていった。

それでも端末代に10万、初期費用として4~5万かかったというのだから、まだ高い(繰り返すが、iPhoneの端末代金は5~7万)。

各社の基本使用料、通話料金

この頃の携帯電話の代表的な料金プランを紹介しよう。

  • NTTドコモグループ
    基本使用料 6,800円
    通話料 60円/1分
  • IDOグループ
    基本使用料 6,300円
    通話料 57円/1分
  • デジタルホングループ
    基本使用料 6,200円
    通話料 60円/1分
  • ツーカーセルラーグループ
    基本使用料 6,200円
    通話料 60円/1分

どこも基本使用料は6,000円前後。通話は1分60円である。ちなみに現在の通話料はどの会社も1分40円前後である。少し安くなった。

PHSの登場、携帯電話との違いは?

PHSは端末代や毎月の基本使用料が手ごろなことから人気を得た。

NTTパーソナルの場合は新規加入料が4,200円。契約事務手数料が3,000円。月々の基本使用料が2,700円。携帯電話に比べて、おおよそ半額の料金だ。

ただし、PHSにもデメリットはあった。基地局の出力が弱いので、移動しながらの通話はできない。車や電車に乗りながら電話をかけると、プツプツと途切れてしまった。また、PHSから携帯電話にかけることもできなかった。

当時の携帯電話への不満

『PHS購入&活用完全ガイドブック』(1995年)には当時の携帯電話に対するユーザーの不満の声をまとめている。

「フリーダイヤルにかけられない」
「毎月の基本料金が高い」
「友達が電話代を心配してぜんぜんかけてこない」
「電池が早くなくなる」

およそ20年前の携帯電話に対するユーザーの率直な意見がわかる。
だが、どれも今言われていたとしても違和感がないのではないだろうか? この頃もユーザーは月々の料金を「高い」と感じていたのだ。

携帯電話でメールやインターネットをする時代へ

1999年2月22日、NTTドコモがiモードサービスを提供し始める。また、Eメールも使用できるようになり、基本使用料や通話料に加えて、これらの通信費も上乗せされるようになった。2000年の時点で、どの会社も月額200~300円でメールをできるようにしている。これにプラスしてメールの受信・送信をどのぐらいしたかによって、料金は高くなっていく。

プリペイド、パケホーダイ、家族割、次々登場する値下げ施策

「料金が高い」という不満に応えるように、各社、様々なサービスを提供していった。

「プリペイド式」はツーカーセルラーグループが始めたサービス。料金を前払いし、その分だけ利用できるというもの。加入手数料や契約手続きの必要がなく、コンビニで端末とプリペイドカードが買えたのが手頃で人気が出た。

「パケホーダイ」はパケット通信の料金を定額化したもの。これによってインターネットがしやすくなった。しかし、定額に含まれない「例外」も存在しており、気付かずに高額化し、トラブルになる事例もあった。

「家族割」は指定した電話番号との通話が10~20%ほど割り引かれるというもの。家族や恋人など、頻繁に連絡する登録すれば、割引となった。

プランの乱立で戦国時代へ……

各携帯会社は基本料金の値下げを図る。2007年1月、ソフトバンクは「ホワイトプラン」を発表。基本料金が月額980円という低価格帯が話題となった。

これに対抗し、NTTドコモは「ひとりでも割50」「ファミ割MAX50」、KDDI(au)が「誰でも割」を開始する。これらはそれまでの基本料金を半額にするものだ。ただし、2年間の契約を結ぶことが前提となっている。2年ごとの契約月以外に解約する場合は、違約金が発生する。これが現在まで続くいわゆる「2年縛り」の始まりである。今では忘れられてしまっているが、2年縛りは基本料金を下げるための施策だったのだ。

しかし、実は基本料金と通話料は1999年から約10年ほど変わっていない。各携帯会社は他社との差別化を行うために、様々な割引プランを設定しているという状態だった。

そしてスマートフォンの時代

スマートフォンの普及が始まる直前、「携帯電話通信事業者─個人利用動向調査報告書2008」が調査した1ヶ月あたりの平均利用金額を見てみよう。

これによると、「7,000~1万円未満」が層としては一番多い。「5,000~7,000円未満」「3,000~5,000円未満」が続いている。

続いて、スマートフォンの普及が進んだ2012年に行われた「スマートフォン利用動向調査報告書2013」を見てみよう。

フィーチャーフォンに比べると、5,000~7,500円の層が分厚くなっている。だが、7,500円未満で切り取ると、実は2008年のときの調査のときと、比率はあまり変わらない。

こうして見ていくと2000年前後以降は、料金だけ見るとそれほど変わりはない。5,000~1万円の間を増減しているが、極端に下がったり、上がったりはしていないのだ。 携帯電話でやれることを考慮すると、その領域はどんどん広がっているわけで、こうなるともう上がっているのか下がっているのかはわからない。 新しいプランが次々と導入されることで、何か大きな変化が起きているように感じるが、根幹の部分ではほとんど変わっていないと言えよう。

SIMフリーがやってきた

最後に一応、SIMフリーについても触れておこう。
2014年12月、総務省が「SIMロック解除に関するガイドライン」を改正した。これにより、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの大手3社はSIMロックの解除を行わなければいけなくなった。

従来、携帯電話の端末には特定のSIMカードしか使えなかった。これが「SIMロック」だ。これを解除するということは、どんなSIMカードでも使えることを意味する。端末と通信事業者を切り離す、それがSIMロック解除である。

SIMロックの解除により、大手3社以外の事業者が参入しやすくなり、サービスの競争が起こる。すでに基本使用料が1,000~2,000円代のプランを提供する事業者が登場している。

携帯電話の料金は、少し下がったと言えよう。だが、大枠で見ると、それほど変わっていない。

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